おきなわいち


上地哲の沖縄事典 (おきなわ自転?)
by UECHI
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島豆腐の話 (2001年10月17日出稿)

 子供の頃、我が家のお勝手の片隅には使われなくなった料理用の道具がいくつか転がっていた。今はもう無いのだが、あるものはゴミとして処分されたり、あるものは古道具屋に引き取られたり、またあるものは民俗資料館に行ったりしたようだ。
 生活のスタイルが大きく変わってきたのだ。中でも食の内容とスタイルが大きく変わってきたように思う。めまぐるしい変化の中で、多くの食のための道具たちも私の家からは消えて行った。かまど、はがま、鰹節の削り器、石臼、七輪、サギジョウキ(竹製の吊籠)、シンメーナービ(大なべ)などなど。
 中でも、豆腐作りの道具一揃いは無くなった今でも愛着を持って思い出される。収穫した大豆の皮を脱穀する農具、大豆を洗う竹の大ざる、一晩水に浸けておいた生の大豆を挽く石臼、絞る木綿の布、生絞り汁を煮るシンメーナービ(大なべ)、頃合を見て苦汁(海水)を適量、正確に加えて混ぜ、できたゆし豆腐を汲むのにも使う柄杓、木綿を敷きゆし豆腐を注ぎ込む木枠、押し固めるための鉄製の重し、などなど。温かな豆腐の味とともにこれらの道具がはっきりと脳裏に浮かんでくる。
 今は亡き祖母は、豆腐作りのための海水は日が昇る前に汲まなければいけないと言っていた。明るくなると水中の生き物が活動を開始し水がにごると言うのだ。大豆を浸す水はつるべで汲み上げた井戸水。この井戸も五十年近くなるがまだ涸れてはいない。
 これらの記憶が私の豆腐好きの源になっていることは間違いない。

この豆腐作りの道具と手順は、おそらく沖縄に豆腐が伝わった14世紀の頃とあまり変わってはいないのだろうと思われる。
先日、NHKでブラジルの沖縄豆腐作りが紹介されていたが、ほとんど手順は変わっていなかった。ただ、固める木枠が巨大で、できた豆腐の大きさも南米大陸並に豪快であった。
海水を使ってはいけないなど、食品衛生法でずいぶん豆腐作りも窮屈になった感じだ。が、各家庭で作ったり隣近所で分け合っていたのと違い、顔の見えない不特定多数の人に「売る」豆腐作りであるだけに、品質の管理は問われなければならない。
今ではスーパーで買う豆腐だが、やはりどこのメーカーのものがおいしいかは地域毎に決まっているようだ。私の好みの豆腐はいつも午前中で売切れてしまう。

さて、お気づきだろうか。日本の豆腐と沖縄の島豆腐の違いを。
一つは工程の中にある、大豆の生絞りである。日本の豆腐は煮絞りであるところが多い。二つ目は苦汁である。沖縄の豆腐は海水か海水から取った苦汁を使う。硫化マグネシムなどの凝固剤は使わない。三つ目が島豆腐は陸に上がっていることである。本土の豆腐屋さんは豆腐を水の中から取り出して売る。だが、沖縄の豆腐は湿った木綿をかぶって棚に並んでいる。四つ目はアチコウコウ(温かい)で売られているのだ。冷やして売られている日本豆腐との違いである。五つ目はその大きさである。1丁あたりの重さでは日本豆腐が普通約300g、島豆腐は約1kgはある。六つ目はその固さである。何せ鉄製の重石を載せて固めるのだ。チャンプルー料理に使って、野菜や肉といっしょに豪快に炒めても決して型崩れしない。

形状や製造工程での違いを挙げてきたが、その結果として当然ながら味わいも違ってくるというものだろう。どっちがおいしいかなどの評価はここでは差し控えたい。日本豆腐の中にもすごく旨い豆腐があるのも事実だし、島豆腐と称してもまずいものもある。埼玉の真南風の新井さんが教えてくれた川越のざる豆腐は絶品であった。沖縄豆腐と日本豆腐、同じ豆腐として論ずるより違う食品と考えてもいいのではないだろうかと時々思う。
ともあれ、一見しただけでもこれだけの違いがあるのだ。これは食と言う文化の地域性、すなわち個性であり、異文化なのである。厚生省や保健所もそこのところの認識を持って欲しい。でないと法を盾に画一性を押し付けるという愚を再び犯してしまうことになる。

 豆腐は旨いだけではない。栄養豊富な食物である。大豆に含まれる植物性タンパク質は他の豆類の1.3倍という。ビタミンB1、カリウムなどに加え、苦汁に含まれる海水のミネラル成分が豆腐の中に溶け込んでいるのだ。
 沖縄人の一人あたりの豆腐消費量は全国平均の2倍だと言う。豆腐料理も多い。豆腐好きの沖縄人が世界一健康長寿なのも頷けるのではないだろうか。

 さて、いよいよ、「おきなわいち」でも島豆腐を全国の皆さんにお届けできるようになりそうです。翁屋さんが、おいしい豆腐を安全にお届けするため、現在いろいろと研究中です。今回はゆし豆腐について詳しく触れませんでしたが、沖縄の食生活に欠かせないこのゆし豆腐もお届けできるようになると思います。乞うご期待!
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# by s.t.uechi | 2001-10-17 13:17 | 沖縄事典

島バナナの話 (2001年10月17日出稿)

 沖縄の島々を歩くと、家々の裏や畑の隅にバナナの木(ほんとは大きな草の茎)が2・3本から数本立っているのをよく目にする。時に鈴なりの青い実を見つけると、いつ頃が食べ頃かなあと想像してその家庭がうらやましくなる。あの濃厚な香りと甘味は輸入バナナと比べられるものではない。
国内消費の99.5%以上は輸入バナナである。産地である沖縄でも輸入モノが島内産を圧倒している。沖縄の市場でも島バナナに出会うのはめずらしい。
さて、島バナナはどんなバナナかと言うと、小笠原亜種と呼ばれているとの事である。マレー原産で小笠原種からきているらしい。一般には並べて比べてみないとわかりにくいのではあるが。まず大きさは一般的に、フィリピンやエクアドルから入っているジャイアント・キャベンディッシュ種よりは小さい。また、台湾バナナの仙人蕉種よりも小さい。しかし、モンキーバナナと言われるセニョリータ種よりは大きい。だが、植物ゆえに出来不出来によって大きさが違ってくるのは避けられない。モンキーバナナ並に小さくなることもある。
輸入モノのバナナは植物防疫上の問題があり、残留農薬や消毒剤の問題が避けられない。青いままで収穫し輸入後薫蒸処理をして室で追熟させる行程をとらざる得ない。市場に出すときにはどうしても房の付け根のヘタの部分がかなり劣化してしまうし、ポストハーベスト(残留農薬)の浸透を抑える意味でも、その部分をカットせざる得ない。したがって、そのヘタの部分はどうしても短くなってしまうので、島バナナに比べヘタが短いし、切り口が劣化しているのがわかる。
だが、なんと言っても違いがはっきりわかるのは食べてみたときの味である。濃い香り、深い甘味、やや酸味のあるこの味はほんもののバナナであることを食べる者に実感させてくれる。おそらく、フィリピンやエクアドルのバナナも地元で無農薬で完熟のものを食べることが出来れば、同じくらいおいしいであろうと思う。安全でおいしいものが多少値段が高いのは残念だが、値段の安さだけに引きずられると、せっかくの買い物が無駄になるような気がするのは私だけではあるまい。
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# by s.t.uechi | 2001-10-17 13:14 | 沖縄事典

ポーク缶詰の話 (2001年7月11日出稿)

ポークの缶詰
 東京で生活していた頃の話ですが、銀座のデパートの輸入食品売り場でスパムとチューリップのポークランチョンミート缶詰を見かけた時は驚きました。様々な国のチーズとか、果物のシロップ漬けやキャビアなど、おしゃれなイメージの外国産商品の中で、あまりにも見慣れた“顔“があったからです。それはまるでドレスやタキシードが舞う華やかなダンスパーティーの会場で“かぁちゃん”に出くわしたような感じなのです。しかも、ちゃんと棚に並んで他の舶来の商品と見劣りすることなく毅然と居座っているではないですか。価格まで600円近くもしていたかと思います。もちろん買うことはありませんでしたが、しばらく眺めては、ウ~ンと唸っていました。東京の友人に聞いたら、いまでも銀座の明治屋や青山の紀伊国屋にあるとのことでした。
 沖縄ではいろいろな料理にこの食材を利用します。子供の頃の弁当のおかずに、母はよくこのポークのてんぷらを作ってくれました。スライスしたポークを、湯通しして余分な油分を落とし、海苔で巻き厚めの衣で揚げるのです。これを一口サイズにカットすると、その切り口がポークのピンク色と海苔の黒と衣の黄色できれいに見えるのです(海苔がなくてもいいのですが)。とてもおいしくて大好きなおかずでした。また、味噌汁の具としても良く使われていましたね。たっぷりの野菜ととても相性のいい具だと思いました。朝食には薄くスライスしたポークをカリッと焼いてスクランブルエッグか目玉焼きを添えれば、ご飯にもパンにも合うメニューで、ハムエッグやベーコンエッグなんかよりおいしかった。ビーチパーティーでは焼きそばの具や網焼きで、沖縄料理ではゴーヤーや豆腐とチャンプルーにしても良し。ついにポークチャンプルーというメニューまで出て主役にまで登りつめた感じ。まさに万能の食材でしたね。
 私が東京の墨田区で「沖縄屋」という小さな専門店をやっている頃、近所に住むフィリピン人たちがよく買い物に来てくれました。錦糸町のクラブでダンサーとして働いていた彼女たちの大好物がポークランチョンミートのスパムとゴーヤー、ナーベーラーでした。ゴーヤーは「アンパラヤ」、ナーベーラー(へちま)は「パトーラ」と言っていましたが、スパムは「スパム」でした。沖縄同様、アメリカの支配時代、米軍基地の存在など、アメリカの食文化が地元に大きな影響を与えていたようです。不思議とチューリップよりスパムを好んでいましたね。アンパラヤと炒めるとおいしいと言っていました。何となくお互いに異郷の東京にあって共有できるなつかしさを感じた気がしました。
 沖縄でもポークの缶詰は戦後の米軍政下を代表する食材になりました。もともと缶詰はナポレオン軍のロシア遠征の時の携行食糧として開発されたものだそうですから、軍隊が進駐していく先には必ずもたらされるもののようです。戦禍による食糧難と軍事用非常食という性格がポーク缶詰の背景にある一面でもあります。しかしその出自はともかく、沖縄の人たちの食文化の中にいちはやく取り入れられたのは、豚肉をこよなく愛する沖縄人の嗜好にピッタリとマッチしたからに他なりません。今でもスーパーのチラシの最大の呼び物はポーク缶詰なのですから、食生活が豊かになった現在でも沖縄人が一番好きな食べ物かもしれません。無添加食品にこだわる生協でもポークは欠かせない商品です。何とコープ仕様の無添加ポークが委託製造されているのです。残念ながら生協ブランドなのでおきなわいちでは販売できませんが、沖縄の食生活には欠かせない食生活事情を証明する一面ですね。
 東京の銀座わしたショップで店長をしていた頃、スパムとチューリップのポークを販売していました。今まで書いてきたように沖縄を象徴する戦後の食事情から、ゴーヤーチャンプルーやフーチャンプルーなどに合う食材として、また、沖縄に観光で行った事のあるお客さんからの要望もあり、沖縄ホーメルと富村商事に出店してもらっていたのです。当然お客さんからは喜ばれ、売上も順調でした。ところがそのことが、ある公的な筋からきついお叱りを受けることになったのです。「県産品を売るべきわしたショップが輸入品を売るとはけしからん!」と、いつの間にやら大騒ぎ。とある公的機関の東京事務所の方がこっそりポークなど(他の疑わしき商品も)を隠し撮りして県や、とある公的筋に秘密の報告書を出していたのです。私は公的に説明を求められるはめになりました。
 沖縄で販売されているポークのうち、代表的なものが富村商事のチューリップと、沖縄ホーメルのスパムです。確かに前者はデンマークのチューリップ社で、後者は米国ホーメル社で製造されています。しかし、どちらも富村商事と沖縄ホーメルそれぞれのオリジナルなレシピとパッケージで沖縄側からの指示に基づいて製造され、完成品はほぼ100%両社に引き取られ沖縄で販売されているものなのです。沖縄料理と沖縄人の味覚に合うように作られているのです。細かく言えば、富村商事のチャンプルーポークという名前の商品は世界中探しても沖縄にしかないし、ホーメルのうす塩スパムも沖縄ホーメルのオリジナル製品なのです(Salt less SPAM減塩スパムは米国にもあるが別物)。これは県外製造工場への委託生産(OEM)の一形態と見ても良いと思います。一時期沖縄ホーメルは沖縄工場でスパムを製造していましたが、原料となる豚肉の高値と輸入関税の高さで採算が取れなくなってしまったのです。一度は倒産した同社は、様々な企業努力で業績を回復しようと努力しています。みんなで応援しましょう。
 私はだいたい次の5点で説明してきました。(1)ポークは現代の沖縄の食文化の一部になっている。(2)わしたショップではバラバラな商品ではなくトータルな沖縄のイメージを売る。(3)両社のポークはOEM生産の一形態である。(4)企業努力を続ける県内メーカーを応援する。(5)沖縄観光と県産品のリピーターであるお客さんのニーズに応える。
多くのみなさんの支持はいただいたのですが、残念ながらクレームを言って来たとある公的筋の方のご理解はいただけませんでした。沖縄で製造されたもの以外は売ってはいけないと言うのです。しかし私は自分の信念でポークを売りつづけたのは言うまでもありません(今も売っているかどうかわかりませんが)。
 テレビで活躍するジェイ川平も、以前ある航空会社の機内誌にスパムが大好きだったと書いていました。沖縄で暮らした私たちの、少年期の忘れられない味があの缶詰に詰まっているのです。
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# by s.t.uechi | 2001-07-11 13:10 | 沖縄事典

コーレーグスの話 (2001年6月13日出稿)

<暑い夏は汗をかこう>
本州の入梅は6月。その頃沖縄の梅雨明けがやってきます。梅雨明けと言うより雨期の終わりといった感じです。高くなった雲の隙間に青空が覗き始めると、いっきに気温が上がっていきます。暑い熱い沖縄の夏の到来です。やがて空一面雲ひとつない真っ青な空が広がっていきます。
気温30度、こう暑いと食欲が落ちるのも無理からぬことです。食が細るから体力も落ちてきます。そうなると人は暑さから逃げようとするのが常でしょう。冷たい水物を取り、クーラーのきいた部屋で過ごすようになります。だが、これは悪循環の始まりなのです。地球の温暖化について書こうとは思いませんが、暑さを乗り切るには暑さに挑む姿勢が必要なのだと思います。暑さを友達にしてしまえばいいのです。カーッと汗をかいてしまえば、後は気分もスッキリするし、新陳代謝で体調も良くなります。

<コーレーグス>
暑い国ほど辛いものを好んで食すると言います。辛いものが沖縄にもあります。沖縄の辛さと言えばコーレーグスが代表選手です。沖縄中どこの地域でも、食堂に入れば必ずテーブルの上に置かれているのが、やや黄みを帯びた液体の中に赤い小粒の唐辛子の実が浮かぶコーレーグスです。この調味液を沖縄そば(方言では、ウチナースバ)にかけて、「熱い!暑い!」と言いながら一気に食べきると、当然滝のような汗!食後の爽快感は何とも言えません。もちろん、ウチナースバだけではなくチャンプルーをはじめどんな料理にでも合います。
この小粒の唐辛子がシマトウガラシ(またはコーレーグス)と呼ばれる沖縄唐辛子なのです。以前はどこの家でも庭先に植えてあって、これを潰して醤油や味噌に混ぜ、刺身などを浸けて食べていました。この実を泡盛に漬けたのが一般的なコーレーグスです。泡盛ではなく酢に漬けたり、にんにくをいっしょに漬けたり、塩を加えたりして、各家庭のオリジナルコーレーグスの味を作り出します。また、唐辛子を葉野菜などといっしょに植えると虫が寄り難いとも言われ、キャベツなどの畝隣りに作られていました。乾燥させ、一味や二味、七味唐辛子にしたり、他のハーブと混ぜて使ったりもしています。

<フィファーチ>
沖縄そばに合う辛いものでは、他にもフィファーチ(ヒハチ、ピパーツ)という香辛料があります。八重山地方を中心に多く使われているコショウのような粉末ですが、黒コショウにシナモンを混ぜたような感じですかね。トンガ王国で聞いた話ですが、南太平洋諸島のポリネシア系民族では祭りや外交(部族間の交流)に欠かせないカバの木の汁を飲む儀式がありますが、実はこのカバの木はフィファーチのの木の仲間だということです。何でもこの汁を飲むと争い事を好まなくなるとか聞きました。実際のところは確かめきれませんでした。

<新たな辛さブーム>
 一昔前に「激辛」ブームがあったことは記憶にあると思いますが、最近また唐辛子がブームになってきています。今度は単なる辛さではなくヘルシーさが受けているようです。流行に敏感な食品業界では、スナック菓子、カップめん、レトルト食品、清涼飲料水などに次々とピリ辛味が登場しています。唐辛子食品の代表であるキムチは国内での生産量も、本場韓国からの輸入量も激増していると言います。塩分が敬遠されがちな漬物業界の中にあって唯一売上を伸ばしつづける特異な存在と言えましょう。即席カレー食品でも「甘口」は減少、「中辛」「辛口」が増加、ますます辛いものを好む傾向は強まっていると言います。

<人気の背景はカプサイシン効果>
 辛さ人気の階層はは若い女性層にあるようです。辛いものを食べることによって体脂肪を燃焼させるという、ノンカロリー食品より一歩進んだダイエット効果を期待したいということなのです。唐辛子に多く含まれているカプサイシンが体脂肪を燃焼させエネルギーの代謝を促す効果があるため、やせたい若い女性の人気の的となったのです。外出時に唐辛子調味料を携帯している人も増えているとか。“マイ七味”や“マイタバスコ”派が増えているそうです。
 銀座のわしたショップでもコーレーグスコーナーは人気が高いとのことです。500円から900円ぐらいのものが売れ筋だとか。

<マイ コーレーグス>
 ならば、“マイ コーレーグス”派を増やしたいものです。
定番のビン入り「わしたコーレーグス」から、サン食品の使いやすい分包「島唐辛子泡盛漬け」、「からさん」という携帯に便利な小ビン入り、島唐辛子と黒コショウにフィファーチがいっしょになった「からさん三味」、一風変わったパッケージの激辛二味「体力勝負」、いろいろ試したい人には「沖縄の辛みセット」、「石垣島の調味料3点セット」、同じく「5点セット」、そして島マース青い海の「粗挽き塩胡椒」など、おきなわいちでもたくさんあります。
 とは言え、あまり取りすぎると胃を荒らすことになりかねませんからご注意ください。
 “マイ コーレーグス”で暑い夏を、熱く乗り切ろう!
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# by s.t.uechi | 2001-06-13 13:02 | 沖縄事典

紅芋の話 (2001年5月29日出稿)

 5月24日、読谷村の農業生産法人有限会社「アグリ読谷苑」の生芋の初出荷式がありました。「えっ、今ごろ?」と訝しがる方もいらっしゃると思いますが、実は「生」ではほんとに初めての出荷なのです。
 紅芋に限らず沖縄のイモ類は、アリモドキゾウムシ、イモゾウムシなどの日本本土にはいない病害虫がついている恐れがあるため、植物防疫で生での沖縄県外への持ち出しが規制されてきました。観光客が空港の手荷物検査で止められるのはよくあることです。イモ以外にもヨウサイ(ウンチェーバー)とかアサガオなどの仲間もだめなんです。まるで外国扱いですよね。確かに沖縄は本土からすると「海外」ですけど。
 唯一公に持ち出せる方法は那覇市の植物防疫事務所で蒸熱処理されたイモ類だけでした。ただし、営利目的では利用が制限されていました(つまり商売ではダメ)。しかも設備が小さいので大量の処理はできません。少量でも時間がかかります。だから観光客のお土産にも間に合うはずがありません。
 今回読谷村に導入されたのは、1日8時間の稼動で500kg処理する大型の設備です。植物防疫事務所の認定を受け、ここで処理された生イモだけが県外出荷が許されるのです。ビジネス的には数は少ないのですが、もちろん商売もOK。沖縄の紅イモにとって朗報でしょう。販路の広がりだけではなく、そのことにより九州の紫芋におされ気味だった市場でのブランド力を回復できる可能性が広がったからです。
 紅芋が本土市場で人気を呼び一大ブームとなったのは1999年の夏です。テレビの健康番組に加え、新聞、週刊誌、雑誌などがこぞって紅芋の効能やおいしさを記事にしました。芋本来の「自然」「健康」「美容」というイメージに紫色や紅色という「色」が強力なカラーがブームの要因でした。
 これより1~2年前(1997~8年頃)には赤ワインブームが全国を席巻したのを多くの皆さんは記憶しているでしょう。いわゆるポリフェノール食品としてその色素が健康に良いとマスコミで取り上げられてからでした。ここ沖縄のスーパーでも赤ワインが飛ぶように売れて品薄状態になったものです。しかし、赤ワインの健康食品としての欠点はアルコール飲料だということです。いくら健康に良くてもアルコールを飲めない人には毒になってしまいかねません。それにとって代わったのが紅芋でした。
 紅芋の紫色の色素アントシアニンこそ、最近悪玉として知られてきた活性酸素をやっつける機能を持つポリフェノール食品のヒーローになったのです。それまで売上をのばしてきた北海道産の赤ワインは1999年上半期には対前年比8%も売上を落としてしまいました。紅芋にその地位を奪われたのです。
 また、紅芋はさまざまな加工食品として登場してきたのです。東京渋谷のセンター街にある「カフェ・ブルーシール」では紅芋ソフトクリームが十代から二十台の女性に大人気です。1日に3000個以上出るというから行列ができるのも無理からぬことです。吉祥寺のケーキ店では紫芋のモンブランが女性客の人気を集めています。毎年開催される新宿の伊勢丹本店や京王デパートでの沖縄物産展でも紅芋チップスやショコラなどのお菓子は人気商品です。
 そういえば大手の菓子メーカーでも紅芋商品を作っています。ポッカや大塚食品が紅芋チップスを販売しています。まだまだ紅芋の人気は続きそうです。
 今回出荷する紅芋は備瀬という種類で、表面の皮が白く中が紫の色をしています。読谷のような石灰岩質の土地に合う品種のようです。外が赤紫で中も紫の宮農という種類も沖縄の代表的な紅芋です。九州の芋は種子島紫とかアヤムラサキとかと言って沖縄のものとは種類が違います。1999年8月3日の読売新聞は見開きで特集を組んでいますが「沖縄の紅芋、鹿児島の紫イモ」と書いていました。紅芋は沖縄が本場だという認知度をあげるには絶好の機会だったのです。が、その後沖縄からの紅芋の出荷(加工品)は品不足で減り、逆に九州産の紫芋が原料として沖縄に入ってくるようになったのです。
今回、アグリ読谷苑(製造元)と株式会社ユンタンザ(総販売元)が生イモの出荷体制を整えたことで「沖縄の紅芋」というブランドの確立に向け一歩進むことができると思います。依然として生産量・品質の課題は残っていますが、アグリ読谷苑が農業生産法人としてスタートしたことに課題克服への意欲を感じます。
「おきなわいち」でもユンタンザの商品として紹介し、販売への協力を行っていきます。
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# by s.t.uechi | 2001-05-29 13:00 | 沖縄事典

シィクヮーサーの話 (2001年1月30日出稿)

<シィクヮーサーブーム>
 関西テレビの人気番組「あるある大事典」でシィクヮーサーが紹介されたのが12月10日。糖尿病の特集の時である。あれから1ヵ月半が過ぎ、シィクヮーサーフィーバーもやや落ち着いてきた感がある。そろそろ果実の食べ頃も終わりに近づいてきた。また人気の高い果汁100%の「シィクヮーサー100」の缶詰が品切れ状態になってきた。品薄感が売上の伸びが止まる大きな要因となっているようだ。
 とは言え、旧正月を迎えた今でも沖縄北部のやんばるの山に入ると、黄色く色付いたシィクヮーサーが北風に揺れるのを見ることはできる。未熟の時に比べて少し甘味も加わったほどよい酸味が好きだという人も少なくない。
「はーっしゃもう、やっと静かになったさぁ」との声が木々の間から聞えるような気がする。
 こんな時期にシィクヮーサーの話を書くと売上にはあまり結びつかないので出店テナントの翁屋さんやWEBデザイナーの豊嶋さんには怒られそうだが、今年の秋まで待つのも何なので書くことにした。

<今年は不作!?>
 今年は不作と言われている。何でも出来不出来が1年毎に来るらしい。という話がある一方で、大宜味村出身の知人のオバーちゃんが言うには「ヤーヌクシー(家の後ろ)のオバーが大事にしているシィクヮーサーはいっぱいなっているよう。オバーは木に登れないから誰でも欲しい人は木に登って好きなだけ採りなさい。」とのことだった。どうやらこの辺にシィクヮーサーの二年サイクル不作説の実情がありそうだ。
 確かに約2年前の1998年秋も不作ということで、缶詰「シィクヮーサー100」がJA(農協)の工場で製造できなかった年であった。同製品が品切れになりちょっとした騒ぎになった。こういう時に限ってシィクヮーサー人気が高くなるという皮肉な事態に遭遇する。この時は確か10月頃に新聞でシィクヮーサーがガンを抑制するという記事が出てしまっていたのだ。しかも情報の発信元が当のJAであったので呆れてしまった。
 商品流通の川下でエンドユーザーと直接対応する小売の現場はたまったものではない。テレビや新聞でシィクヮーサーが体に良いと伝えられ、買い求めるお客の行列に商品の品切れを早々と通告しなければならないのだ。

<シィクヮーサーは希少種>
 さて、シィクヮーサーという果物は実にかわいそうな植物である。実はこのミカン、沖縄にしかない希少種なのであるが、沖縄ではあまり大事にされていない。ヤンバルクイナやノグチゲラ、イリオモテヤマネコなどの類と言えなくもないのだ。一方は世界的にも知られた天然記念物。もう一方は切り倒され、ヤマトから来た温州ミカンの台木にされている。
 学名もシィクヮーサーというこの木は何でも沖縄の固有種で野生の蜜柑であるらしい。名前の由来は、沖縄の方言で酸っぱいという意味の「シイ」と、同じく食べさせるという意味の「クヮーサー」から来ている。なんともわかりやすい名前である。原産地は沖縄、常緑低木、小高木、枝に刺がある。石灰岩質の山間に分布。ヤンバルの石灰岩のやせた土地にも根付く強い木である。未熟の内は果皮は緑色で酸が強い。完熟は果皮が黄色くなり酸味に甘味が加わる。この頃が一番おいしい。
 仲間も多い。クニブ(九年母)の種類ではイシクニブ、イングァクニブ、ヒージャークニブ、カーブチー、フスブタなどなど、沖縄の柑橘類は野生種が多い。改良種もある。甘いクガニーや、タンカン。最近ではデコポンやあまsunなどがある。
 
<シィクヮーサーの効用>
 シィクヮーサーの成分は、ノビレチン、ビタミンC、ビタミンB1、カロチン、ミネラルなどである。この中で聞きなれないのがノビレチンという柑橘系に含まれるポリメトキシフラボノイドで、これがガン抑制効果や血糖値の抑制効果があるという代物なのだ。シィクヮーサーにはこのノビレチンがポンカンの2.1倍、温州ミカンの11.1倍も含まれているという。これは東京薬科大の指田豊薬学博士の研究によるデータで、血糖値抑制効果は同大でのマウス実験による結果である。子供の頃から親しんでいるシィクヮーサーの偉大な効能など我々は知る由もなかった。
 11月から1月頃までが旬のこの果実は何らかの加工保存が必要でもある。

<生活の中のシィクヮーサー>
 我が家ではヤンバルからもらってきたシィクヮーサーは、母や祖母がよくジュースにしていた。砂糖を加えて甘くしていた。生の果実もよく食していた。梅干よりもシィクヮーサーの方が名前を聞くだけで唾が出てくる。
 刺身に添えることが多かったように思う。沖縄ではわさびより刺身には酢を使うことが多いのだが、酢ではなくシィクヮーサーが使われていたのだ。醤油だけでなく、味噌とも混ぜて刺身をつけて食べていた。マリネ風の和え物にも良く使われるし、揚げた魚にもかけておいしい。
 先述の大宜味村のオバーちゃんが大事に育てていた木は、毎年シィクヮーサーのおいしい恵みをもたらしていたに違いない。

<ちゃんと作れば実はできる>
 シィクヮーサーはもともと野生の果物ゆえに、農園で計画的に栽培されているのは少ない。勝手に生えてきたのをそのままにしているのがほとんどではなかろうか。鳥が種を運び、芽が出て、木になり、実ができる。手入れもせず、粗放栽培である。施肥や剪定、摘果などはやられたことがない。挙句の果てにその野生の強さが災いして、ひ弱な温州ミカンの台木にさせられているのだ。なんと悲劇な生き方なのか!
 大宜味のオバーちゃんは大事に育てたから毎年収穫ができたはずだ。温州ミカンより優れた効能を持ち、しかもおいしいこの果物が、沖縄の代表的なミカンとして見直され復権できる日を待ちかねているのは、より健康であろうと願っている全国の消費者であることは間違いない。そのニーズに応えられるかどうかは沖縄の農業関係者のマーケティングセンスによるだろう。
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# by s.t.uechi | 2001-01-30 12:56 | 沖縄事典

パパイヤの話 (2000年12月11日出稿)

<ごく普通の食材>
 子供の頃、私の家にはパパイヤの木があった。今はなくなってしまったが、表に1本、裏に2~3本くらいあったように記憶している。表の木は実が黄色く熟れるのを待って、そのくせのある甘味を楽しんでいた。色づきはじめるとスーシ(ひよどり)をはじめ、様々な小鳥たちが我々のライバルになってパパイヤを狙って来る。1日ふつか見張りを怠ると、木の下に小鳥たちの食い散らかしたパパイヤのオレンジ色の残骸を目にすることになった。表のパパイヤに感心を払うのは、もっぱら子供たちと男どもであった。一方、家の裏のパパイヤは実が熟することはなかった。母親や祖母が青い実をもいできては食卓のおかずに変えていた。こちらは鳥にやられる心配はない。どこの家にもあるあたりまえの食材として利用されてきた野菜であった。
<肉を軟らかくする>
 千切りにしたパパイヤは牛肉や豚肉などと炒めることが多い。肉を軟らかくする働きがあるのだ。沖縄風に言えば「パパイヤイリチャー」である。チンジャオロースーのような料理には最適だろう。また、その効果を活かして肉といっしょの煮込み料理にも合う。噛んでも噛み切れないほどのカマジサーの硬い肉がボルシチのような軟らかな煮込みに変化していくのだ。パパイヤの「ンブシー」と言う。ステーキ肉やバーベキュー肉も焼く前にパパイヤのスライスや千切りをのせておくと軟らかい肉に焼けると言う。
<おっぱいの実>
 祖母がパパイヤは子供を産んだお母さんに食べさせると母乳がよく出るようになると教えてくれた。子供心にもちょっとドキドキして聞いた覚えがある。赤ちゃんを産んだばかりの叔母のおっぱいから勢いよく出ていた母乳のイメージと祖母の話がいつも重なって思い出される。友人の奥さんが出産をした後、パパイヤのお茶をもらって飲んだらすごく母乳が出たと話していた。似たような話はフィリピンでも言われていると言う。そう言えば、パパイヤの実は女性の乳房の形に似ている。
<アレルギーに効果>
 私の二番目の息子は東京の杉並で生まれ育った。最初の子が三鷹市で生まれ3歳までそこで育ったせいなのかまったく喘息はなかったのだが、杉並生まれの子は喘息で地域公害病の認定を受ける羽目になってしまった。発作が起きたときの本人の苦しさ、看る家族の苦しさは想像を絶するものがある。幾度となく苦しく眠れぬ夜を過ごしたことか。直るものならどんな高価な薬でもと思うのは親としてごく当然の思いである。母親が知人の紹介で都内の自然健康食品店で買い求めてきたものは、なんとパパイヤを原料とする製品であった。それは100gで1万円近い価格で売られていた。
 灯台元暮らしで、私は自分の店で青いパパイヤを販売していたのだ。我が家でもパパイヤ料理はおのずと増えていった。そのうち子供たちは母親がまな板で青いパパイヤを切っている傍から手を伸ばして生を齧っていた。そういえば、タイのサラダに生のパパイヤは欠かせない食材だと言う。
 パパイヤはアトピーなどのアレルギー体質を改善するにも良いらしい。
 パパイヤなのか、沖縄へ転居したせいなのか、とにかく息子の喘息は治った。
<パパイン酵素の化粧品>
 これまで紹介したパパイヤの様々な働きの正体は「パパイン」という酵素の働きにあるらしい。
 この酵素の働きを活用したクレンジングローション「ちゅらら」が人気を集めている。メイク落としにとても良いらしい。また皮膚の角質をとり、美白効果もあると言うのでテレビ界や舞台関係の女性に人気だ。表示指定成分(つまり化学薬品)を一切含まない自然派化粧品として静かなブームを呼んでいる。肉を軟らかくする性質を考えれば、素人目にも納得のいく道理だ。
<無農薬で新鮮なパパイヤは沖縄産だけ>
 全国のエスニック料理店ではタイなどから青いパパイヤを輸入して食材に使っているが、植物防疫上の問題で当然ながら消毒剤や防腐剤が使用されている。ポストハーベストの問題もクリアにはなっていない。何より鮮度が落ちている。
 せっかくの優れものの食材も無農薬でなければ魅力がない。国産で入手できるのであるから、あえて輸入モノに頼る必要もあるまい。まず安心して購入し食べてもらえる。
<青いパパイヤはおいしい野菜>
 いろいろ書いてきたが、これだけは伝えておきたい。とにかくおいしいのだ。独断で表現すれば、食感はジャガイモと大根を合わせたような感じ。味は淡白な瓜類に近く、シャキッともするし、しんなりとも作れる。タイ料理のように生でもいい。どんな料理にも合う野菜なのだ。
 しかも、その奥の深さはすごい。無限の可能性を秘めていることはここまで読まれたらお解りかと思う。
<全国に広めたい不思議な実>
 全国の人がパパイヤを作り、育て、利用して欲しい。そんなことを実現させる「インターネットパパイヤ農園」を年明けには開園したいと思っている。場所は東洋のガラパゴス西表島。ネットを通じパパイヤの木のオーナーになってもらい、育てる過程を共有してもらうつもりである。結実と収穫をいっしょに祈ってほしいのだ。魅力溢れる不思議なこの木の実を。
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# by s.t.uechi | 2001-01-03 12:53 | 沖縄事典

ゴーヤー(にがうり)の話 (2000年11月22日出稿)

 もう10年程前の話だが、東京は錦糸町の近くで沖縄屋というマチヤグァー(小売店)をやっている頃、近所に住んでいる外国のお客さんがよく買い物にきた。フィリピンの若い女性たちは夜間の勤めが多いらしく、来店するのはいつも午後。にぎやかな彼女たちの笑い声がいつも店内を明るくしてくれた。青いパパイヤの実や、彼女たちがパトーラと呼ぶナーベーラー(へちま)、ポークランチョンミートのスパムなどを買ってみんなで分けていた。中でも人気の高いのがフィリピンでアンパラヤと呼ばれているゴーヤーである。毎日食べても飽きないと言う。いくら私が「これは沖縄ではゴーヤー、日本ではニガウリと言う」と教えても、まったく意に介さず「アンパラヤちょうだい」とくる。彼女たちの生きてきた生活の中で血となり肉となったアンパラヤは3,200km離れた東京でもやはりアンパラヤなのだ。
 数年後、銀座わしたショップで店頭のプライスカードに「ゴーヤー」と表示してあるのを見て、永六輔さんが「東京で売るならゴーヤーではなくニガウリと書かないとお客さんはわからない」と親切に指摘していただいた。確かにわかりやすく表示することは客商売の原則である。言い訳ではないが、我々はゴーヤーの後に小さな文字で(ニガウリ)と表示してあった。永さんは順番が逆だとおっしゃった。ご指摘を受けながらも私たちは表示を変更しなかった。残念ながらその理由を説明する間も無く永さんは走り去ってしまった。私たちは単体としてのゴーヤー=苦瓜だけを売るのではなく、ゴーヤーチャンプルーも含めた沖縄のゴーヤーとそれにまつわるもの全てを伝えたかった。大げさに言えば沖縄で育ったゴーヤー文化のようなもの、それを伝えない限りこの苦くてグロテスクな野菜は東京人に受け入れられないのではないかという思いがあった。その後東京発のメディアでゴーヤーのまま紹介されるようになり、それから2~3年で東京のスーパーに「鹿児島産ゴーヤー」のラベルが見られるようになった。
 アンパラヤに話を戻すと、フィリピンの彼女たちは実だけでなくゴーヤーの葉も欲しいと言ってきた。実と同じように炒めて食べるという。中国やインドの漢方や薬草の本の類には実、種、葉、茎、根茎も薬となることが記されているという。まるごと体に良い野菜のようだ。
 バングラデシュの青年が故郷にはゴーヤーチャンプルーと同じような料理があると教えてくれた。ただ、肉類は入れないでゴーヤーに玉ねぎやニンジンなど野菜だけを使うらしい。とすると野菜チャンプルーになるのかな?沖縄のチャンプルーは脇役なのに豆腐の存在が大きいような気がするが、バングラデシュには豆腐はないらしい。
 中国では南部の方で主に産するようだが、広州では苦瓜ではなく「涼瓜(リャンクゥワ)」と呼び、やはり夏ばて対策で暑い時に食べたりジュースを飲んだりするようだ。それにしても涼瓜とはさわやかでいい名前ではないか。先にグロテスクな野菜と書いたことを反省させられる。実は私もこの野菜を愛してやまない人間のひとりである。素敵な命名をした広州人のセンスの良さに脱帽である。ちなみに沖縄で言う「ゴーヤー」は「苦瓜」の中国読みから転化したものらしい。
 ベトナムでは豚肉も入れたゴーヤーチャンプルーがあり、インドではカレーにも使い、タイでもゴーヤー料理は多いという。日本では異色な野菜ゴーヤーも、アジアのポピュラーな食材であることを私は東京に住むアジアの国々の人々に教えてもらった。
 2年程前、大阪で民族医薬食科学研究所所長で薬学博士の難波恒雄先生にお会いしていろいろとゴーヤーのことを教えていただいたことがある。その知識もさることながら、アジア全域をまたにかけそれぞれの地域の人々のための医療活動を精力的になされていることにいたく感動させられた。チベットの山村に病院を作る話を梅田の小料理屋で聞いたときは、笑いながら酒を酌む難波先生が現代版赤ひげ先生に見え、大変頼もしく感じたのを覚えている。富山医科薬科大学の名誉教授であると同時に、中国国内の6つの薬科大学の名誉教授、4つの大学の客員教授で、アーユルベェーダ医学なども研究している。その広がりはまさにゴーヤー並であった。
 難波先生から聞いた話でも、ゴーヤーはビタミンCが豊富で、しかも加熱してもほとんど減少しない健康野菜の代表格という。果実は風邪の予防や解熱効果がある他、健胃、整腸、食欲増進、疲労回復、肝機能強化、眼精疲労回復、精神安定などの効果があるというのだ。抑制効果としてはストレス、発ガン、コレステロール値、血糖値を抑えるという。ゴーヤーの葉はお風呂に入れて汗疹を直したり、絞り汁などを皮膚病に処方するなど知られているが、今までは捨てていた種がすごい。抗糖尿病作用が実験で認められている上に、エイズなどのウイルス性疾患に対する作用もあることが報告されているらしい。
 また、中国では古くからゴーヤーの種子の方には元気をつけ、強壮作用があると言われているというから、バイアグラに代わるものがあるかもしれない。ゴーヤーの学名はMomordica charantia L.というらしいが、このモモルジカというのはラテン語で噛むとか齧る意味だという。もともと種が齧ったような跡がついているからだと言われるが、古代の人は強壮効果のあるこの種子を実際に齧っていたのではなかろうか。
 難波先生もすごい人だが、先生に調べてもらったゴーヤーもすごい野菜だということを聞いて、ただおいしいおいしいと食していた沖縄人にとって大変な驚きであった。「沖縄は県を挙げてもっとゴーヤーを科学的にも研究するべきではないのか」と先生に言われて、最も身近な野菜だと思っていたゴーヤーのほんとうの奥の深さを知らずにいた自分を恥じた次第である。
 今回は、ゴーヤーのおいしさと言うより、地域的な面の広がりと、内容的な奥の深さの一端を紹介してみた。バラエティーに富む料理の話や、栽培する農家の話、様々な品種の話はまた次の機会に譲りたい。
たまには、遠くフィリピンやバングラデシュに思いを馳せながらゴーヤーを食するのもわるくない。
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# by s.t.uechi | 2001-01-02 12:46 | 沖縄事典

ウコンの話 (2000年11月15日出稿)

 きつい二日酔い、肌が荒れる、疲れが取れないなど、現代人が抱える典型的な悩みの特効薬がウコンです。さらに最近は抗酸化食品としてガン抑制効果の研究もアメリカや台湾などの公的な機関で盛んに行われています。「あるある大事典」でも特集されました。
 これほどまでウコンが有名になるなんて数年前までは誰も考えなかったでしょう。たとえば、一般にクミスクチンと言っても沖縄の薬草に関心のある人か、沖縄のオバーでないとわからないのではないでしょうか。かつてウコンもそうでした。健康をテーマにした雑誌やテレビなどで取り上げられるようになって急速に全国的に認知度が高まりました。ここ5年くらいのことです。
 当然供給量が足りなくなりました。4~5年前までは夏場はウコンの商品が消えてしまう事態もあったのです。契約栽培なども行われるようになり、沖縄県内の生産も上がりましたが、県内生産量の3倍以上が輸入されるようになったのです。主な輸入先はインドネシア、中国、ビルマなどですが、バングラデシュやタイ、ベトナムなども名乗りを挙げています。同時に国内でも各地でウコンの生産が行われるようになっていました。山梨県、福岡県、熊本県、宮崎県、鹿児島県などが産地として登場してきました。
 じゃあウコンは沖縄産でなくても良いのではないか?という疑問が誰しも湧いてくると思います。私もそう思っていろいろ聞いてみました。残念ながら沖縄の公的な研究機関はまだ比較研究の実績は無いようでした。民間の研究者やウコン製品の製造業者などによると、(1)輸入物は残留農薬、消毒薬などの問題がある。(2)紫外線の強い沖縄ではより抗酸化性が高まる。(3)沖縄の土壌・気候風土がウコンに適しクルクミンや精油成分のバランスのちょうど良い物ができるなどなどの答えが返ってきました。日頃、酒飲みの私がその効果の恩恵は十二分に受けているため、さもありなんと思いましたが、より確かな研究成果が待たれるところです。
 ところで、通常我々がウコンと呼んでいるのは、いわゆる「秋ウコン」のことでクルクミンという成分が豊富な方です。秋口に白い花穂をつけることからこのように呼ばれます。根茎はオレンジ色に近く、英語でターメリックと言えばおわかりでしょう。そう、カレーの原料のひとつです。一方「春ウコン」はキョウオウという植物のことで同じショウガ科ではありますが違う植物と認識してください。春に薄いピンク色の花弁をつけるためこう呼ばれます。根茎は黄色で舐めると強烈な渋味があります。こちらも含有する精油成分が人間の消化器系や肝臓に働き体調を整える効果があると言います。もうひとつ似たような名前で「紫ウコン」というのがありますが、こちらはガジュツというよく胃薬などに使われる物です。根茎を割ると、白っぽい芋の淵の方に薄紫色の円冠があります。どちらも秋に根茎を収穫して製品化します。春に取れるから春ウコンと思い込んでいる方もいますのでご注意を。かつては夏場に品切れを起こしていたのは秋取れるためだったんです。
 まだそれほどウコンがメジャーではなかった頃、銀座わしたショップで某広告代理店の営業マンに二日酔いの対策にウコンをお薦めしました。即効性のある効果に驚いて、その広告代理店の営業マンの間でウコンは大人気でした。そのことが現在のウコンブームの下地になったかどうかは知る由もありません。沖縄では「酒飲みにウコンは飲ますな」と言い伝えられています。調子よく飲めるものですからついつい酒量が増えてしまうからです。そうなってはもともこもありません。
 肝臓の働きを活発にすることは、新陳代謝を促し、老化を防ぎ、肌もきれいになることを意味します。酒飲みにだけ与えておくのはもったいない。世の美しい女性にこそいつまでも美貌を保つためにもお薦めしたいものです。
 中国の李白の詩にこんなのがあるのをご存知でしょうか。

  「蘭梁の美酒」
 蘭梁の美酒 うこんの香り
 玉椀に盛り来たれば 琥珀の光
 主をしてよく客を酔わしめれば
 何処か知るや是他郷

 旅先でウコンの酒をごちそうになり、異郷の地にいることすら忘れてしまったという、飲んべーの李白のこの詩が私は大好きです。東京のとある沖縄料理屋でいつもウコン入りの泡盛を飲みながらこの詩を思い浮かべていました。
 そうそう、石垣の高嶺酒造に同名の酒があり、とても好きになりました。
 ともあれ、ウコンの効果は大きなものがありますが、酒の飲みすぎは逆効果というお話でした。
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# by s.t.uechi | 2001-01-01 12:42 | 沖縄事典