おきなわいち


上地哲の沖縄事典 (おきなわ自転?)
by UECHI
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さとうきびの話 (2002年2月28日出稿)

 私の住む読谷村は東シナ海に面した農村地域である。毎朝、車で出勤する時は、五十数年前アメリカ軍が上陸した海岸線を背に、両脇のサトウキビ畑の中を走り抜け、座喜味城跡の城壁を左手に見上げながら喜名番所跡の国道58号線に出る。沖縄の歴史を象徴するような道程である。
 
車の窓を開けると、北風にそよぐさとうきび畑のざわわざわわという音が、森山良子の歌声と重なってくる。冬の今の時期、刈り入れに農家は忙しい。畑に山積みにされたさとうきびの束と、その横で一服する老農夫たちの間を抜ける冷たい北風を沖縄では「ニシ」と呼ぶ。気温は15~6度でもニシが吹くと体感気温は一気に下がる。その中での刈り入れ作業はつらいものがある。

 刈り取られたほとんどのキビは製糖工場に運ばれ、ザラメに加工される。それが精製されグラニュー糖に変わって行くのだ。今でも一部は黒糖工場に行き、黒砂糖に加工されている。黒糖工場ではさとうきびが絞られ、すぐに大なべで煮つめられていく。焦げ付かないようにかきまぜながら煮詰め、固めるために石灰分を加えていくと、水分が飛んで液体状から固体状へとだんだんに変化していく。こうして固まったものが黒砂糖である。

 さとうきびの汁は甘くて旨い。子供の頃はおやつ代わりだった。一見竹のような固い皮を、うまく歯で剥いていくのだ。今の子供たちなら歯が欠けてしまうかもしれない。たっぷり甘い汁を含んだ繊維の束を、歯で潰すようにして汁を絞り出して吸いとっていく。汁気の無くなった繊維をはきだしては、次のを潰して吸う。食べ終わる頃は口の周りが甘い汁でべとべとだった。

 この甘い汁は栄養分の塊だと言う。多くのミネラルを含み滋養強壮の効果が大きいらしい。しかし汁の状態では極めて酸化が早く効能を維持したままでは保存が出ないとの事だ。そこで、宮古のコーラルベジタブルの洲鎌社長がサトウキビジュースのサーバーを開発した。絞りたてを飲むことで栄養を丸ごと吸収できるというものだ。那覇市の牧志の市場にある丸一ミートの店頭で飲むことができる。

 このさとうきびの汁を凝縮して固めたのが黒砂糖(黒糖)である。体に良くない訳が無い。沖縄のおばあたちは泡盛は飲まないが、黒砂糖が大好きである。朝の目覚め(ミーグファイ)の茶受けに、3時のおやつに欠かせない。粉にした黒糖でつくるポーポー(沖縄風クレープ)も素朴な甘さに飽きがこない。
沖縄のさとうきび畑と黒砂糖。失いたくない風景である。
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by s.t.uechi | 2002-02-28 13:28 | 沖縄事典