おきなわいち


上地哲の沖縄事典 (おきなわ自転?)
by UECHI
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シィクヮーサーの話 (2001年1月30日出稿)

<シィクヮーサーブーム>
 関西テレビの人気番組「あるある大事典」でシィクヮーサーが紹介されたのが12月10日。糖尿病の特集の時である。あれから1ヵ月半が過ぎ、シィクヮーサーフィーバーもやや落ち着いてきた感がある。そろそろ果実の食べ頃も終わりに近づいてきた。また人気の高い果汁100%の「シィクヮーサー100」の缶詰が品切れ状態になってきた。品薄感が売上の伸びが止まる大きな要因となっているようだ。
 とは言え、旧正月を迎えた今でも沖縄北部のやんばるの山に入ると、黄色く色付いたシィクヮーサーが北風に揺れるのを見ることはできる。未熟の時に比べて少し甘味も加わったほどよい酸味が好きだという人も少なくない。
「はーっしゃもう、やっと静かになったさぁ」との声が木々の間から聞えるような気がする。
 こんな時期にシィクヮーサーの話を書くと売上にはあまり結びつかないので出店テナントの翁屋さんやWEBデザイナーの豊嶋さんには怒られそうだが、今年の秋まで待つのも何なので書くことにした。

<今年は不作!?>
 今年は不作と言われている。何でも出来不出来が1年毎に来るらしい。という話がある一方で、大宜味村出身の知人のオバーちゃんが言うには「ヤーヌクシー(家の後ろ)のオバーが大事にしているシィクヮーサーはいっぱいなっているよう。オバーは木に登れないから誰でも欲しい人は木に登って好きなだけ採りなさい。」とのことだった。どうやらこの辺にシィクヮーサーの二年サイクル不作説の実情がありそうだ。
 確かに約2年前の1998年秋も不作ということで、缶詰「シィクヮーサー100」がJA(農協)の工場で製造できなかった年であった。同製品が品切れになりちょっとした騒ぎになった。こういう時に限ってシィクヮーサー人気が高くなるという皮肉な事態に遭遇する。この時は確か10月頃に新聞でシィクヮーサーがガンを抑制するという記事が出てしまっていたのだ。しかも情報の発信元が当のJAであったので呆れてしまった。
 商品流通の川下でエンドユーザーと直接対応する小売の現場はたまったものではない。テレビや新聞でシィクヮーサーが体に良いと伝えられ、買い求めるお客の行列に商品の品切れを早々と通告しなければならないのだ。

<シィクヮーサーは希少種>
 さて、シィクヮーサーという果物は実にかわいそうな植物である。実はこのミカン、沖縄にしかない希少種なのであるが、沖縄ではあまり大事にされていない。ヤンバルクイナやノグチゲラ、イリオモテヤマネコなどの類と言えなくもないのだ。一方は世界的にも知られた天然記念物。もう一方は切り倒され、ヤマトから来た温州ミカンの台木にされている。
 学名もシィクヮーサーというこの木は何でも沖縄の固有種で野生の蜜柑であるらしい。名前の由来は、沖縄の方言で酸っぱいという意味の「シイ」と、同じく食べさせるという意味の「クヮーサー」から来ている。なんともわかりやすい名前である。原産地は沖縄、常緑低木、小高木、枝に刺がある。石灰岩質の山間に分布。ヤンバルの石灰岩のやせた土地にも根付く強い木である。未熟の内は果皮は緑色で酸が強い。完熟は果皮が黄色くなり酸味に甘味が加わる。この頃が一番おいしい。
 仲間も多い。クニブ(九年母)の種類ではイシクニブ、イングァクニブ、ヒージャークニブ、カーブチー、フスブタなどなど、沖縄の柑橘類は野生種が多い。改良種もある。甘いクガニーや、タンカン。最近ではデコポンやあまsunなどがある。
 
<シィクヮーサーの効用>
 シィクヮーサーの成分は、ノビレチン、ビタミンC、ビタミンB1、カロチン、ミネラルなどである。この中で聞きなれないのがノビレチンという柑橘系に含まれるポリメトキシフラボノイドで、これがガン抑制効果や血糖値の抑制効果があるという代物なのだ。シィクヮーサーにはこのノビレチンがポンカンの2.1倍、温州ミカンの11.1倍も含まれているという。これは東京薬科大の指田豊薬学博士の研究によるデータで、血糖値抑制効果は同大でのマウス実験による結果である。子供の頃から親しんでいるシィクヮーサーの偉大な効能など我々は知る由もなかった。
 11月から1月頃までが旬のこの果実は何らかの加工保存が必要でもある。

<生活の中のシィクヮーサー>
 我が家ではヤンバルからもらってきたシィクヮーサーは、母や祖母がよくジュースにしていた。砂糖を加えて甘くしていた。生の果実もよく食していた。梅干よりもシィクヮーサーの方が名前を聞くだけで唾が出てくる。
 刺身に添えることが多かったように思う。沖縄ではわさびより刺身には酢を使うことが多いのだが、酢ではなくシィクヮーサーが使われていたのだ。醤油だけでなく、味噌とも混ぜて刺身をつけて食べていた。マリネ風の和え物にも良く使われるし、揚げた魚にもかけておいしい。
 先述の大宜味村のオバーちゃんが大事に育てていた木は、毎年シィクヮーサーのおいしい恵みをもたらしていたに違いない。

<ちゃんと作れば実はできる>
 シィクヮーサーはもともと野生の果物ゆえに、農園で計画的に栽培されているのは少ない。勝手に生えてきたのをそのままにしているのがほとんどではなかろうか。鳥が種を運び、芽が出て、木になり、実ができる。手入れもせず、粗放栽培である。施肥や剪定、摘果などはやられたことがない。挙句の果てにその野生の強さが災いして、ひ弱な温州ミカンの台木にさせられているのだ。なんと悲劇な生き方なのか!
 大宜味のオバーちゃんは大事に育てたから毎年収穫ができたはずだ。温州ミカンより優れた効能を持ち、しかもおいしいこの果物が、沖縄の代表的なミカンとして見直され復権できる日を待ちかねているのは、より健康であろうと願っている全国の消費者であることは間違いない。そのニーズに応えられるかどうかは沖縄の農業関係者のマーケティングセンスによるだろう。
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by s.t.uechi | 2001-01-30 12:56 | 沖縄事典

パパイヤの話 (2000年12月11日出稿)

<ごく普通の食材>
 子供の頃、私の家にはパパイヤの木があった。今はなくなってしまったが、表に1本、裏に2~3本くらいあったように記憶している。表の木は実が黄色く熟れるのを待って、そのくせのある甘味を楽しんでいた。色づきはじめるとスーシ(ひよどり)をはじめ、様々な小鳥たちが我々のライバルになってパパイヤを狙って来る。1日ふつか見張りを怠ると、木の下に小鳥たちの食い散らかしたパパイヤのオレンジ色の残骸を目にすることになった。表のパパイヤに感心を払うのは、もっぱら子供たちと男どもであった。一方、家の裏のパパイヤは実が熟することはなかった。母親や祖母が青い実をもいできては食卓のおかずに変えていた。こちらは鳥にやられる心配はない。どこの家にもあるあたりまえの食材として利用されてきた野菜であった。
<肉を軟らかくする>
 千切りにしたパパイヤは牛肉や豚肉などと炒めることが多い。肉を軟らかくする働きがあるのだ。沖縄風に言えば「パパイヤイリチャー」である。チンジャオロースーのような料理には最適だろう。また、その効果を活かして肉といっしょの煮込み料理にも合う。噛んでも噛み切れないほどのカマジサーの硬い肉がボルシチのような軟らかな煮込みに変化していくのだ。パパイヤの「ンブシー」と言う。ステーキ肉やバーベキュー肉も焼く前にパパイヤのスライスや千切りをのせておくと軟らかい肉に焼けると言う。
<おっぱいの実>
 祖母がパパイヤは子供を産んだお母さんに食べさせると母乳がよく出るようになると教えてくれた。子供心にもちょっとドキドキして聞いた覚えがある。赤ちゃんを産んだばかりの叔母のおっぱいから勢いよく出ていた母乳のイメージと祖母の話がいつも重なって思い出される。友人の奥さんが出産をした後、パパイヤのお茶をもらって飲んだらすごく母乳が出たと話していた。似たような話はフィリピンでも言われていると言う。そう言えば、パパイヤの実は女性の乳房の形に似ている。
<アレルギーに効果>
 私の二番目の息子は東京の杉並で生まれ育った。最初の子が三鷹市で生まれ3歳までそこで育ったせいなのかまったく喘息はなかったのだが、杉並生まれの子は喘息で地域公害病の認定を受ける羽目になってしまった。発作が起きたときの本人の苦しさ、看る家族の苦しさは想像を絶するものがある。幾度となく苦しく眠れぬ夜を過ごしたことか。直るものならどんな高価な薬でもと思うのは親としてごく当然の思いである。母親が知人の紹介で都内の自然健康食品店で買い求めてきたものは、なんとパパイヤを原料とする製品であった。それは100gで1万円近い価格で売られていた。
 灯台元暮らしで、私は自分の店で青いパパイヤを販売していたのだ。我が家でもパパイヤ料理はおのずと増えていった。そのうち子供たちは母親がまな板で青いパパイヤを切っている傍から手を伸ばして生を齧っていた。そういえば、タイのサラダに生のパパイヤは欠かせない食材だと言う。
 パパイヤはアトピーなどのアレルギー体質を改善するにも良いらしい。
 パパイヤなのか、沖縄へ転居したせいなのか、とにかく息子の喘息は治った。
<パパイン酵素の化粧品>
 これまで紹介したパパイヤの様々な働きの正体は「パパイン」という酵素の働きにあるらしい。
 この酵素の働きを活用したクレンジングローション「ちゅらら」が人気を集めている。メイク落としにとても良いらしい。また皮膚の角質をとり、美白効果もあると言うのでテレビ界や舞台関係の女性に人気だ。表示指定成分(つまり化学薬品)を一切含まない自然派化粧品として静かなブームを呼んでいる。肉を軟らかくする性質を考えれば、素人目にも納得のいく道理だ。
<無農薬で新鮮なパパイヤは沖縄産だけ>
 全国のエスニック料理店ではタイなどから青いパパイヤを輸入して食材に使っているが、植物防疫上の問題で当然ながら消毒剤や防腐剤が使用されている。ポストハーベストの問題もクリアにはなっていない。何より鮮度が落ちている。
 せっかくの優れものの食材も無農薬でなければ魅力がない。国産で入手できるのであるから、あえて輸入モノに頼る必要もあるまい。まず安心して購入し食べてもらえる。
<青いパパイヤはおいしい野菜>
 いろいろ書いてきたが、これだけは伝えておきたい。とにかくおいしいのだ。独断で表現すれば、食感はジャガイモと大根を合わせたような感じ。味は淡白な瓜類に近く、シャキッともするし、しんなりとも作れる。タイ料理のように生でもいい。どんな料理にも合う野菜なのだ。
 しかも、その奥の深さはすごい。無限の可能性を秘めていることはここまで読まれたらお解りかと思う。
<全国に広めたい不思議な実>
 全国の人がパパイヤを作り、育て、利用して欲しい。そんなことを実現させる「インターネットパパイヤ農園」を年明けには開園したいと思っている。場所は東洋のガラパゴス西表島。ネットを通じパパイヤの木のオーナーになってもらい、育てる過程を共有してもらうつもりである。結実と収穫をいっしょに祈ってほしいのだ。魅力溢れる不思議なこの木の実を。
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by s.t.uechi | 2001-01-03 12:53 | 沖縄事典

ゴーヤー(にがうり)の話 (2000年11月22日出稿)

 もう10年程前の話だが、東京は錦糸町の近くで沖縄屋というマチヤグァー(小売店)をやっている頃、近所に住んでいる外国のお客さんがよく買い物にきた。フィリピンの若い女性たちは夜間の勤めが多いらしく、来店するのはいつも午後。にぎやかな彼女たちの笑い声がいつも店内を明るくしてくれた。青いパパイヤの実や、彼女たちがパトーラと呼ぶナーベーラー(へちま)、ポークランチョンミートのスパムなどを買ってみんなで分けていた。中でも人気の高いのがフィリピンでアンパラヤと呼ばれているゴーヤーである。毎日食べても飽きないと言う。いくら私が「これは沖縄ではゴーヤー、日本ではニガウリと言う」と教えても、まったく意に介さず「アンパラヤちょうだい」とくる。彼女たちの生きてきた生活の中で血となり肉となったアンパラヤは3,200km離れた東京でもやはりアンパラヤなのだ。
 数年後、銀座わしたショップで店頭のプライスカードに「ゴーヤー」と表示してあるのを見て、永六輔さんが「東京で売るならゴーヤーではなくニガウリと書かないとお客さんはわからない」と親切に指摘していただいた。確かにわかりやすく表示することは客商売の原則である。言い訳ではないが、我々はゴーヤーの後に小さな文字で(ニガウリ)と表示してあった。永さんは順番が逆だとおっしゃった。ご指摘を受けながらも私たちは表示を変更しなかった。残念ながらその理由を説明する間も無く永さんは走り去ってしまった。私たちは単体としてのゴーヤー=苦瓜だけを売るのではなく、ゴーヤーチャンプルーも含めた沖縄のゴーヤーとそれにまつわるもの全てを伝えたかった。大げさに言えば沖縄で育ったゴーヤー文化のようなもの、それを伝えない限りこの苦くてグロテスクな野菜は東京人に受け入れられないのではないかという思いがあった。その後東京発のメディアでゴーヤーのまま紹介されるようになり、それから2~3年で東京のスーパーに「鹿児島産ゴーヤー」のラベルが見られるようになった。
 アンパラヤに話を戻すと、フィリピンの彼女たちは実だけでなくゴーヤーの葉も欲しいと言ってきた。実と同じように炒めて食べるという。中国やインドの漢方や薬草の本の類には実、種、葉、茎、根茎も薬となることが記されているという。まるごと体に良い野菜のようだ。
 バングラデシュの青年が故郷にはゴーヤーチャンプルーと同じような料理があると教えてくれた。ただ、肉類は入れないでゴーヤーに玉ねぎやニンジンなど野菜だけを使うらしい。とすると野菜チャンプルーになるのかな?沖縄のチャンプルーは脇役なのに豆腐の存在が大きいような気がするが、バングラデシュには豆腐はないらしい。
 中国では南部の方で主に産するようだが、広州では苦瓜ではなく「涼瓜(リャンクゥワ)」と呼び、やはり夏ばて対策で暑い時に食べたりジュースを飲んだりするようだ。それにしても涼瓜とはさわやかでいい名前ではないか。先にグロテスクな野菜と書いたことを反省させられる。実は私もこの野菜を愛してやまない人間のひとりである。素敵な命名をした広州人のセンスの良さに脱帽である。ちなみに沖縄で言う「ゴーヤー」は「苦瓜」の中国読みから転化したものらしい。
 ベトナムでは豚肉も入れたゴーヤーチャンプルーがあり、インドではカレーにも使い、タイでもゴーヤー料理は多いという。日本では異色な野菜ゴーヤーも、アジアのポピュラーな食材であることを私は東京に住むアジアの国々の人々に教えてもらった。
 2年程前、大阪で民族医薬食科学研究所所長で薬学博士の難波恒雄先生にお会いしていろいろとゴーヤーのことを教えていただいたことがある。その知識もさることながら、アジア全域をまたにかけそれぞれの地域の人々のための医療活動を精力的になされていることにいたく感動させられた。チベットの山村に病院を作る話を梅田の小料理屋で聞いたときは、笑いながら酒を酌む難波先生が現代版赤ひげ先生に見え、大変頼もしく感じたのを覚えている。富山医科薬科大学の名誉教授であると同時に、中国国内の6つの薬科大学の名誉教授、4つの大学の客員教授で、アーユルベェーダ医学なども研究している。その広がりはまさにゴーヤー並であった。
 難波先生から聞いた話でも、ゴーヤーはビタミンCが豊富で、しかも加熱してもほとんど減少しない健康野菜の代表格という。果実は風邪の予防や解熱効果がある他、健胃、整腸、食欲増進、疲労回復、肝機能強化、眼精疲労回復、精神安定などの効果があるというのだ。抑制効果としてはストレス、発ガン、コレステロール値、血糖値を抑えるという。ゴーヤーの葉はお風呂に入れて汗疹を直したり、絞り汁などを皮膚病に処方するなど知られているが、今までは捨てていた種がすごい。抗糖尿病作用が実験で認められている上に、エイズなどのウイルス性疾患に対する作用もあることが報告されているらしい。
 また、中国では古くからゴーヤーの種子の方には元気をつけ、強壮作用があると言われているというから、バイアグラに代わるものがあるかもしれない。ゴーヤーの学名はMomordica charantia L.というらしいが、このモモルジカというのはラテン語で噛むとか齧る意味だという。もともと種が齧ったような跡がついているからだと言われるが、古代の人は強壮効果のあるこの種子を実際に齧っていたのではなかろうか。
 難波先生もすごい人だが、先生に調べてもらったゴーヤーもすごい野菜だということを聞いて、ただおいしいおいしいと食していた沖縄人にとって大変な驚きであった。「沖縄は県を挙げてもっとゴーヤーを科学的にも研究するべきではないのか」と先生に言われて、最も身近な野菜だと思っていたゴーヤーのほんとうの奥の深さを知らずにいた自分を恥じた次第である。
 今回は、ゴーヤーのおいしさと言うより、地域的な面の広がりと、内容的な奥の深さの一端を紹介してみた。バラエティーに富む料理の話や、栽培する農家の話、様々な品種の話はまた次の機会に譲りたい。
たまには、遠くフィリピンやバングラデシュに思いを馳せながらゴーヤーを食するのもわるくない。
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by s.t.uechi | 2001-01-02 12:46 | 沖縄事典

ウコンの話 (2000年11月15日出稿)

 きつい二日酔い、肌が荒れる、疲れが取れないなど、現代人が抱える典型的な悩みの特効薬がウコンです。さらに最近は抗酸化食品としてガン抑制効果の研究もアメリカや台湾などの公的な機関で盛んに行われています。「あるある大事典」でも特集されました。
 これほどまでウコンが有名になるなんて数年前までは誰も考えなかったでしょう。たとえば、一般にクミスクチンと言っても沖縄の薬草に関心のある人か、沖縄のオバーでないとわからないのではないでしょうか。かつてウコンもそうでした。健康をテーマにした雑誌やテレビなどで取り上げられるようになって急速に全国的に認知度が高まりました。ここ5年くらいのことです。
 当然供給量が足りなくなりました。4~5年前までは夏場はウコンの商品が消えてしまう事態もあったのです。契約栽培なども行われるようになり、沖縄県内の生産も上がりましたが、県内生産量の3倍以上が輸入されるようになったのです。主な輸入先はインドネシア、中国、ビルマなどですが、バングラデシュやタイ、ベトナムなども名乗りを挙げています。同時に国内でも各地でウコンの生産が行われるようになっていました。山梨県、福岡県、熊本県、宮崎県、鹿児島県などが産地として登場してきました。
 じゃあウコンは沖縄産でなくても良いのではないか?という疑問が誰しも湧いてくると思います。私もそう思っていろいろ聞いてみました。残念ながら沖縄の公的な研究機関はまだ比較研究の実績は無いようでした。民間の研究者やウコン製品の製造業者などによると、(1)輸入物は残留農薬、消毒薬などの問題がある。(2)紫外線の強い沖縄ではより抗酸化性が高まる。(3)沖縄の土壌・気候風土がウコンに適しクルクミンや精油成分のバランスのちょうど良い物ができるなどなどの答えが返ってきました。日頃、酒飲みの私がその効果の恩恵は十二分に受けているため、さもありなんと思いましたが、より確かな研究成果が待たれるところです。
 ところで、通常我々がウコンと呼んでいるのは、いわゆる「秋ウコン」のことでクルクミンという成分が豊富な方です。秋口に白い花穂をつけることからこのように呼ばれます。根茎はオレンジ色に近く、英語でターメリックと言えばおわかりでしょう。そう、カレーの原料のひとつです。一方「春ウコン」はキョウオウという植物のことで同じショウガ科ではありますが違う植物と認識してください。春に薄いピンク色の花弁をつけるためこう呼ばれます。根茎は黄色で舐めると強烈な渋味があります。こちらも含有する精油成分が人間の消化器系や肝臓に働き体調を整える効果があると言います。もうひとつ似たような名前で「紫ウコン」というのがありますが、こちらはガジュツというよく胃薬などに使われる物です。根茎を割ると、白っぽい芋の淵の方に薄紫色の円冠があります。どちらも秋に根茎を収穫して製品化します。春に取れるから春ウコンと思い込んでいる方もいますのでご注意を。かつては夏場に品切れを起こしていたのは秋取れるためだったんです。
 まだそれほどウコンがメジャーではなかった頃、銀座わしたショップで某広告代理店の営業マンに二日酔いの対策にウコンをお薦めしました。即効性のある効果に驚いて、その広告代理店の営業マンの間でウコンは大人気でした。そのことが現在のウコンブームの下地になったかどうかは知る由もありません。沖縄では「酒飲みにウコンは飲ますな」と言い伝えられています。調子よく飲めるものですからついつい酒量が増えてしまうからです。そうなってはもともこもありません。
 肝臓の働きを活発にすることは、新陳代謝を促し、老化を防ぎ、肌もきれいになることを意味します。酒飲みにだけ与えておくのはもったいない。世の美しい女性にこそいつまでも美貌を保つためにもお薦めしたいものです。
 中国の李白の詩にこんなのがあるのをご存知でしょうか。

  「蘭梁の美酒」
 蘭梁の美酒 うこんの香り
 玉椀に盛り来たれば 琥珀の光
 主をしてよく客を酔わしめれば
 何処か知るや是他郷

 旅先でウコンの酒をごちそうになり、異郷の地にいることすら忘れてしまったという、飲んべーの李白のこの詩が私は大好きです。東京のとある沖縄料理屋でいつもウコン入りの泡盛を飲みながらこの詩を思い浮かべていました。
 そうそう、石垣の高嶺酒造に同名の酒があり、とても好きになりました。
 ともあれ、ウコンの効果は大きなものがありますが、酒の飲みすぎは逆効果というお話でした。
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by s.t.uechi | 2001-01-01 12:42 | 沖縄事典